かいちょうのブログ

大学生です。私の心象風景をつらつらと表現。できる限りおもしろく。

映画レビュー 「WOOD JOB!神去なあなあ日常」

 

一回やってみたかったんですよねーこういうの。

 

今回レビューする映画は「WOOD JOB!神去なあなあ日常」という映画です。

この映画の原作は三浦しをんさんによる小説「神去なあなあ日常」で、本映画は原作を読んだ後に観た映画になります。と言っても数年前とかに読んだので、原作を思い出しながらの鑑賞でした。

 

あらすじとしましては、浪人が決まった高校生(染谷将太)が職業パンフレットに載っていた女性(長澤まさみ)に惹かれ、ド田舎で1年間林業を研修のような形ですることになるというものです。

 

結論から言います。原作の方がいいです。原作の良いところを2時間の映画にうまく詰め込めていない印象を受けました。 

 

原作の良かった点として、1つは村の人たちの描写だと思います。

三重県の神去村という辺境の地が舞台となっていますが、原作によれば村人は「なあなあ」という言葉をよく使うそうだ。「ぼちぼちいこう」「落ち着こう」というような意味があり、村人たちは皆のんびりとしているようです。

また、林業というものは100年も前の木を切り落とし、それを売ることを生業としており、自分たちが植えた木が切り落とされ使われるのは自分たちが死んでからのことだという。長い年月をかけた営みである林業というものが、村人のなあなあな生き方を形成してるようだ。

このような村人の人柄なんかが随所で見受けられて良かった記憶があります。

 

2つ目は主人公が村人たちに認められるまでの過程です。

作中では林業の世界は人が不足しているため、宿や食事を無償提供し、若者の林業従事者を増やそうという取り組みを進めてはいるが、やはり長く続く者は少なく、主人公も村の人からは「どうせすぐにいなくなる」「冷やかしならやめろ」といわれます。

それでも色々な経験を経て少しずつ成長していき、村人からも認められるようになります。このすぐには認められないが、着実に前に進んでいるような主人公が応援したくなるような存在としていてくれました。

 

しかし、本映画はただ単に、「もしも都会育ちの若者がド田舎で林業をしたら」みたいな、モニタリングみたいな映画に終始していたような印象を受けた。村人の人柄についてはあまり触れられず、主人公の成長もじっくりと描写できず、あまり感じられませんでした。原作では物語の核の部分なのではないのかと思うのですが…(なあなあ はタイトルにもなってるぐらいだし…)。

これも原作の良いところなのだが、村人は非常に信心深く、この「信仰」の要素が物語全体において非常に大きな役割を果たしているが、映画ではこの点も「おかしな村だなぁ」というだけの要素に成り下がってしまっているような気がしてしまった。

 

しかし困ったことに、「都会っ子の職業体験バラエティ」として観るならば、決して退屈な映画ではないように感じた。それはひとえに主人公役を演じた染谷将太の存在が大きいと感じる。携帯も繋がらず、街まで降りるのに車で2時間。毎日汗だくでドロドロ。ハブやマムシももちろん出る。そんな環境に放り出されたヒョロヒョロ都会っ子を表情や声、立ち姿で見事に演じていた。

あと、伊藤英明と作業着が似合いすぎる。

 

 

ほとんど原作の話になってしまった。すいません。